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腹腔鏡下肝切除術

肝臓

 肝臓はお腹の最も頭側(胸の直下)にある重さ1㎏以上の大きな臓器で、おもに右の肋骨の奥に納まっています。腸で吸収した栄養を含む血液はほぼすべて肝臓に流れ込んで、肝臓の中で体に必要な形に加工されます。 流れ込んだ血液はその後肝臓のすぐ上にある心臓に向かって流れ出ていきます。そのため、肝臓内には血液を流し込む血管と血液を運び出す血管が、2本の木が枝を重ねたように埋まっていて、その中を大量の血液が流れています。

肝臓

肝臓の位置

肝臓内外のおもな血管

 肝切除術の際には出血をうまく制御しながら、これらの血管を必要な分だけ切断して病巣(がん)を含む肝臓の一部を切り取ります。 肝切除には開腹手術でも高度な技術が必要なため、以前は腹腔鏡手術として行うことは不可能と考えられていました。しかし、手術器具の発達と外科技術の進歩により、今では開腹手術とほぼ同じ手術ができるようになりました。

腹腔鏡手術の利点

 肝切除を腹腔鏡手術で行うことの最も大きな利点は2つあります。

① 少ないダメージ(低侵襲性)

 肝臓は右の肋骨の奥深いところに納まっているため、開腹手術では体壁をかなり大きく切開する必要がありますが、腹腔鏡下肝切除術は、開腹手術と比較して極端に小さなきずで済みます。腹腔鏡手術ではいくつかの小さな穴と肝臓を取り出すための最低限の切開で肝切除術を行います。傷が小さいことによって、術後に痛みが小さく、傷もあまり目立たないということは分かり易い利点です。これらに加えて、手術中の患者さんの体力的負担も大幅に軽減され、実は医学的にはこれが最も大きな利点です。手術後に感じる疲労感が小さく、より早く元気を取り戻せます。また、色んな病気で体力の落ちた患者さんや高齢の患者さん等は、開腹では難しくても腹腔鏡下であれば肝切除術に耐えられる場合があります。

開腹肝切除術時のお腹の状態

腹腔鏡下肝切除術時のお腹の状態

開腹肝切除術後のお腹の傷跡

腹腔鏡下肝切除術後のお腹の傷跡

② 出血量が少ない

 もうひとつは出血量が少ないことです。腹腔鏡下手術では、お腹の中に空間を確保するために二酸化炭素を持続的にお腹に流し込みます(気腹)。 肝臓内の血管では血圧が比較的低いため、気腹によってお腹の中の気圧を上げた状態で手術を行うと、切断中の肝臓の表面からの出血量が少なくなります。

求められる高い技術と安全性

 もちろんすべての肝切除術が腹腔鏡下手術に適しているわけではありませんが、適切な選択と適切な技術によって開腹手術と変わらない手術成績が得られることはすでに証明されています。適切な選択の幅は外科医の技術に大きく影響されます。ある施設では腹腔鏡下手術が不可能でも、別の施設では安全に施行することが可能な場合があります。

 ご自身やご家族・お知り合いが肝切除術を受けることになった時、安全な腹腔鏡下肝切除術が可能かどうか知りたい方は、一度ご相談にいらして下さい。

本田 五郎

Goro Honda, MD, PhD, FACS

肝胆膵外科医​ 内視鏡外科医

Hepatobiliary-Pancreatic & Endoscopic Surgeon

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